『プロンプトデザイン その2「依頼方法を工夫する」』では、依頼内容を細かくしChatGPTにたくさんの文脈を与えると良い結果が得られるといったところをお伝えしました。
基本的な考え方こちらで十分ですが、本稿ではより良い結果を得るためのテクニックをいくつかお伝えしようと思います。
考え方のアドバイスを与える
汎用的な方法がChatGPTに依頼する際に助言を与えるというものです。
依頼時のアドバイスを追加することによりChatGPTの行動が変わります。このアドバイスの威力は大きく、いくつか事例を交えながら紹介いたします。
まずは論理を大事にしてもらいたい際の例です。
あなたはビジネスマンです。
新しい企画を考案することになりました。
段階を踏んで論理的に考えてください。
次にいわゆる発散思考で考えてもらいたい際の例です。
あなたはビジネスマンです。
新しい企画を考案することになりました。
自由な発想で取り組んでください。
- 段階を踏んで論理的に考えてください。
- 自由な発想で取り組んでください。
という1文のみの違いですが、出力すると結果が大きく異なることがわかると思います。
ChatGPTはいわば中立な出力を行います。ですので、「論理的に」という言葉を与えてあげればロジックが通るよう段階を踏んで、「自由に」と与えるとたくさんの可能性を模索した出力を出してきます。他にも「思考のモード」を切り替えるキーワードはたくさんあると思いますので、条件に応じて最適な文章を設計してみてください。
振る舞い方のアドバイスを与える
仕事の取り組み方という点では以下のようなプロンプトも有用です。
あなたはビジネスマンです。
新しい企画を考案することになりました。
何か情報が必要であれば遠慮なく質問してください。
このように投げかけると、ChatGPTは私たちに積極的に質問を投げてくれます。これは「壁打ち」用途でも有用なテクニックでしょう。
具体例を与える
例示も重要です。文章作成、計算問題、プログラミングとさまざまな分野で使えます。
ChatGPTは非常に優秀ですが難しい問題の場合まだ間違えるケースが多いです。その際は具体的な例を教えてあげましょう。
数学の問題を例に取ります。
問題:
ある駐車場には、自動車とバイクが駐車しています。自動車の数はバイクの数の3倍です。駐車場にある車輪の合計が56個であることがわかっています。
問1:この駐車場には自動車が何台ありますか?
問2:この駐車場にはバイクが何台ありますか?
結果を見てみましょう。
4 × 6 + 2 × 2 = 28 となり明らかな誤りです。
少し手助けしてあげましょう。
問題:
ある駐車場には、自動車とバイクが駐車しています。自動車の数はバイクの数の3倍です。駐車場にある車輪の合計が56個であることがわかっています。
問1:この駐車場には自動車が何台ありますか?
問2:この駐車場にはバイクが何台ありますか?
アドバイス:
自動車の数を x とし、オートバイの数を y とします。
自動車の数はオートバイの数の3倍なので、x = 3y です。
自動車の車輪は1台あたり4個、オートバイの車輪は1台あたり2個です。したがって、4x + 2y = 56 という方程式が得られます。
最初の方程式 x = 3y を使って、2番目の方程式を y について解くと4(3y) + 2y = 56になります。
順番が異なっていますが、今度は正しい結果が得られました。
なお、今回は説明のために例示を用いましたが、「論理的に考えましょう」「ステップバイステップで考えましょう」というアドバイスでも正答率は格段に上がります。
まとめ
少し複雑ですが、最終的な概念図は以下のようになります。
アドバイスを与えることでChatGPTの振る舞い方が変わります。その振る舞いに応じて与えられた役割と依頼をこなすという感覚です。
アドバイスの方法は多岐に渡りますので、良い伝え方がないかみなさんも探してみてください。
以上で、プロンプトデザイン編の基礎は終了です。
- AIの役割設定
- 依頼の詳細化
- 依頼時のアドバイス
この3つを意識できればChatGPTをはじめとしたLLMが十分に使いこなせるでしょう。
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